本将棋 内藤九段将棋秘伝(セタ) : 感想・レビュー [ファミコン]

本将棋 内藤九段将棋秘伝 : 感想・レビュー

ロボット(コンピュータ)の弱さ

姫は将棋に就いて全く知らない状態だったのでこの「本将棋 内藤九段将棋秘伝(セタ)」に挑戦する事が決まってから、急遽、将棋のお勉強をしました。

とは言っても、前日に将棋の入門書と定跡書を読んでルールや駒の動かし方、各戦型での囲いや攻め方、囲いの崩し方、玉の詰め方などを足早に憶えただけで、対局経験もない初心者中の初心者だと言えます。

その将棋を覚えたての姫がどこまで通用するか、最初は少し不安だったのですが...実際に挑戦するとその不安は一遍に消えてしまいました。それはこの「本将棋 内藤九段将棋秘伝」が異常なまでに弱かったためです。

その弱さは前日に将棋を覚えたばかりの姫よりも明らかに弱いと言って良いほどで、対戦成績は姫の6戦6勝でした。

攻め筋を受けない

ロボット(コンピュータ)はこちらの攻め筋を受けない事がしばしばありました。

そのため姫のような初心者の攻め(恐らく少し強い相手であれば成立しないような攻め)でも簡単に飛車や角を成り込ませていました。

囲いが弱体化する手を指す

中盤でも終盤でも囲いを弱体化させる以外に意味のない手を指して来る場面も見られました。

攻めが弱い

6戦して6戦とも姫の自陣の囲いは手付かずのままで、結局、攻めらしい攻めを受ける事は1度もありませんでした。

詰めろを受けない

ロボット(コンピュータ)は詰めろを受けない事が何度もありました。

直ぐに見えるような簡単な詰めろばかりでしたし(将棋を覚えたての姫が意識してかける事の出来る詰めろですので簡単なものばかりになるのは当然ですが...)、どれも形勢は変わらないまでも受ければ即詰みは消えると言う場面だったので、受けておくべきだと思うのですが、それを受けないところを見ると簡単な詰めろが全く見えていないのかも知れません。

あるいは、直接の王手は全て逃げるか受けるかしていたので、王手を受けた時だけ対処しておけば良いと思っているのかも知れません。

居飛車対居飛車が指せなかった

姫は居飛車も振り飛車も勉強しましたが、最も興味を持ったのが(そして最も定跡書を多く読んだのが)振り飛車でした。それも振り飛車側の立場から書かれた定跡書ばかりだったので振り飛車側を持って指したいと思っていました。

ですが、やはり最初は居飛車対居飛車と思い(それが将棋の基本のような感じを受けたので)、姫の方は1戦目から4戦目までは居飛車を指していたのですが、その間、対戦相手(コンピュータ)は1度も居飛車を指さずに全て飛車を振る将棋を指していました。

結局、居飛車対居飛車の将棋を指すと言う姫の目標は叶いませんでした...。

居飛車対振り飛車で振り飛車側が指せなかった

そして、もう1つ叶わなかったのが居飛車対振り飛車での振り飛車側です。1戦目から4戦目までは居飛車対振り飛車戦でしたが、全て姫が居飛車側で、姫が振り飛車を持つ事は1度もありませんでした...。

4戦目は姫が後手番だったのでロボット(コンピュータ)の出方によっては飛車を振ろう思っていたのですが、ロボットは先手番でも飛車を振りに来ていたので、結局、そこでも姫は居飛車を持つ事になりました。

ロボットに飛車を振らせないようにする事も出来ますが、そのためにはこちらが変則手を指す事になり、やはりまともな居飛車対振り飛車の形でこちらが振り飛車を持つと言う事は難しそうです。

(5戦目と6戦目は姫の方から敢えてまともな戦型を外して指していて、その中では姫も飛車を振っていますが、通常の居飛車対振り飛車、振り飛車対振り飛車の枠に入る将棋ではなく、ここでは話から除外しています。姫が指したかったのは「まともな居飛車対振り飛車での振り飛車側」であり、それは1度も指せませんでした。)

総合評価 : 2点

「本将棋 内藤九段将棋秘伝(セタ)」の総合評価は2点です。

前日に将棋を覚えたばかりの姫が楽々勝てるような棋力しかないと言うのは問題だと思います。姫ですら将棋の勝負を楽しむ事が出来なかったと言う事は姫よりも強い人はもっと退屈なのではないかと...。

姫はこのゲームに挑戦するために将棋を勉強したと言う事もあり、勉強した事をもっと、特に色々な戦型を試してみたかったのですが、対戦相手であるロボット(コンピュータ)が飛車を振ろうとしてばかりだったためそれも出来ず、とても残念でした。

それでも飛車を振った後の将棋が指せていれば対振り飛車用のゲームとしての価値が出て来るのかも知れませんが、飛車を振った後の指し手もちぐはぐで、初心者の姫から見ても酷いと思える悪手がいくつもあり、そう言った価値もなさそうです。

攻めが弱い、攻め筋を受けない、詰めろすら受けない、飛車を振ってばかりで居飛車を指さない、その好んで指す振り飛車すら全く指せていない...。プロ棋士は何十手も先まで手を読むと本にはありました。姫は能力的に2、3手先までしか読む事が出来ません。ですが、ロボット(コンピュータ)は酷い場合には1手先すら読んでいないように思える手を指して来ます...。ゲームタイトルは「本将棋 内藤九段将棋秘伝」となっていますが、実際にはルールや駒の動きを憶えたばかりの人間がそれを確認するくらいにしか使えないように感じました。これ以上の事を望む人の要求には応えられないと思います。

評価点は2点と言う非常に低いものとなりました。

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