忍者じゃじゃ丸くん(ジャレコ) : 感想・レビュー [ファミコン]

忍者じゃじゃ丸くん : 感想・レビュー

「忍者くん」の弟が主人公

「忍者じゃじゃ丸くん(ジャレコ)」の主人公である「じゃじゃ丸くん」は「忍者くん 魔城の冒険(ジャレコ)」に登場した「忍者くん」の弟であり、「忍者じゃじゃ丸くん」は「忍者くん 魔城の冒険」の関連作品に当たると言えます。

ゲーム全体を見ると横スクロールへの変更やアイテムによる忍術の導入などによって「忍者くん 魔城の冒険」からは大きく姿を変えていますが、あの斜めジャンプは改良されて引き継がれていますし、接触によって気絶が起こる仕組みや、ステージ内に一体のボスキャラを置き、そのボスキャラが新たなボスキャラの出現によって雑魚キャラに降格する形も残されています。

ゲーム的な面では「忍者くん 魔城の冒険」の焼き直しと言うよりは、残すべきところは残し、改良すべきところは改良しつつ、新たなアイディアを取り入れた別の作品だと言って良いように思います。

操作感覚の悪さが付き纏う

自機の操作と挙動に関しては、「忍者くん 魔城の冒険(ジャレコ)」との比較で言うと、操作から反応までの速さが向上し、垂直ジャンプも行えるようになり、随分と改善されいました。しかし、「忍者くん 魔城の冒険」での酷さから言うとまともになったとは言えるものの、それでも十分だとは言えず、操作性における不満と、そこから来ると思われる操作感覚の悪さはプレイ中に常に感じました。

ボーナスステージで「さくら姫」を救出

「さくら姫」の救出はボーナスステージで行われるようになっているのですが、「さくら姫」を救出してもプレイヤーが得られるものは何もなく、そのまま通常面へと戻るだけで達成感もない事から、姫の場合は気が付けば(2回目のプレイからは)「さくら姫」の救出は二の次となり、シーンを進行させる事の方が主目的になってしまっていました。本来は「さくら姫」の救出が主目的であるはずなのですが...姫にはそれを主目的とするのは難しかったです。積極的に「さくら姫」を救出したくなる理由()を与えておいて欲しかったです...。

(シーンの進行よりも得点を重視して進めるならばボーナスステージに積極的に立ち寄る理由は出て来ますが、その場合も目的は「なまず太夫」を倒して得られる5000点であり、プレイヤーから見れば「さくら姫」の救出(これ自体には何のボーナスもない)はその後(目的を果たした後)に勝手に起こる出来事でしかないと言えます。)

「さくら姫」の救出はシーンの進行から切り離さずに、例えば、21面をクリアした後に救出ステージを用意しておき、そこで救出に成功した後、2周目に入る...と言ったような(無難な)方がまだ良かったのではないかと思います。でなければ、救出したくなる要素をきちんと持たせておいて欲しかったです。助けても助けなくてもシーンの進行には関係なく、助けた事により得られるものもなく、得点目当てでボーナスステージに立ち寄った際に結果的に救出されているようでは寂しいように思います...。

大きな目的がない中でのプレイ

「さくら姫」の救出に必要性が感じられないため、プレイ中はシーンの進行や得点を目的にしてゲームを続けて行くくらいしかプレイ意欲を保つものがありませんでした。

ただ、ゲーム自体が面白いとは言えない中、そのような目的だけで何時までもプレイ意欲が保てるはずもなく、特にシーン21をクリアしてループ(シーン22からはシーン2からの敵キャラ出現パターンに戻る)を確認した後は惰性でゲームを続ける状態になっていました...。

忍法

アイテムを取って自機がアイテムの効果状態になると言うのは(「ドンキーコング(任天堂)」、「ポパイ(任天堂)」の頃からある)新しくも珍しくもないアイディアですが、これは前作とも言える「忍者くん 魔城の冒険(ジャレコ)」では見られなかったものです。ゲームとしての退屈さは「忍者じゃじゃ丸くん」に就いても相変わらずですが、それでも、この要素が加えられた事によりそれが幾分か軽減されているように思いました。ゲームに面白味を加える手助けとなっているようです。

忍法の中では大技の「忍法ガマパックン」が良かったと思います。自キャラ(「じゃじゃ丸くん」+「パックン」)の大きさや、その思い切った設定には驚きました。このゲームの目玉だと言っても良いと思います。

色の点滅

「忍者くん 魔城の冒険(ジャレコ)」では画面全体や文字が点滅して見難くなる場面がありましたが、この「忍者じゃじゃ丸くん」では画面全体が点滅する場面はないものの、文字の方の点滅は残されていました。

画面全体の点滅を取り除いたのと同様に文字の点滅に就いても取り除けなかったものかと思います。単に見難いだけであり、プレイヤー視点では何一つ良い事はありませんので。

総合評価 : 9点

「忍者じゃじゃ丸くん(ジャレコ)」の総合評価は9点です。

「忍者くん 魔城の冒険(ジャレコ)」では操作性が非常に悪く、初心者にはゲームどころではない厳しい作りになっていましたが、この「忍者じゃじゃ丸くん」ではそれが随分と改善されていました。しかし、改善されたとは言え操作性にはまだ不満が残り、そこから来る操作感覚の悪さも残っていました。改善が見られているだけに余計に残念に思いました。

本来の主目的であるはずの「さくら姫」の救出に関しては、シーンの進行から外れている上に、「さくら姫」を救出しても(救出場面があるだけで)それによって何かが起こる訳でもなく、プレイヤーの視点からすると救出する事の意味が全く見出せませんでした。シーンを進めたい人から見ればただの遠回りにしかなりません。「救出したい」と思わせる工夫が欲しかったです。

敵キャラを倒してシーンを進んで行く作業は最初はそこそこ面白く行う事が出来たのですが、これは(1、2回プレイして)慣れて来ると直ぐに面白味が消えてしまいました。「持ち」が悪いゲームだと思います。慣れる事によって面白味が増すゲームだと良かったのですが...。

シーンの進行に就いては、シーンを進めて行く事自体には何の目的もなく、シーンを進めても「敵キャラを変えて同じ事の繰り返し」となっています。この辺りは工夫する必要があったのではないかと思います。これも「持ち」の悪さに繫がっていると思います。

全体的な面白味の少なさ、その少ない面白味も少しの慣れによって直ぐに失われてしまう「持ち」の悪さ、操作感覚の悪さ、目的のない中での同じ事の繰り返し...。良い部分も確かにあったのですが、それよりも悪い部分が目立ち、総合評価は9点としました。

(これよりも以前に発売されたゲームの中で最近のアクションゲームを見ると「スーパーアラビアン(サンソフト)」が同じ9点となっていますが、「スーパーアラビアン」との比較で言えば、それよりもアクションゲームとしての出来は良かったと思います。「スーパーアラビアン」は全体的に作りが雑でしたし、操作性も非常に悪かったので...。ただ、「スーパーアラビアン」では面を進めた先に最終目的がきちんと用意されていたため、まだ目的を持って遊ぶ事が出来ました。それに比べ、「忍者じゃじゃ丸くん」ではシーンを進んで行く中に目的はなく、各面も、「スーパーアラビアン」とは違い、敵キャラが変わって行くだけで大きな変化はなし...敵キャラが変わって行くだけの同じような面を目的もなく先へと進めて行く作業は「スーパーアラビアン」よりも退屈だったと言えます。そのため、アクションゲームとしての評価は「忍者じゃじゃ丸くん」の方が上ですが、総合評価では「スーパーアラビアン」と同じ点数になりました。)

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