ドルアーガの塔(ナムコ) : 感想・レビュー [ファミコン]

ドルアーガの塔 : 感想・レビュー

宝箱探索が中心のアクションゲーム

「ドルアーガの塔(ナムコ)」は敵キャラを倒す事よりも宝箱を出現させて中のアイテムを取得する事が中心のアクションゲームになっています。

これは、(ドルアーガを除く)敵キャラは倒さなくてもフロアを進んで行く事は出来ますが、アイテムを手に入れないと先のフロアへ進む事が難しくなったり、アイテムによっては取得していないと全面クリアが不可能になるものがあるためです。

敵キャラは宝箱(アイテム)を出現させるために倒す必要がある敵とラスボスのドルアーガ(ドルアーガの化身も含む)以外は倒す必要性が全くないと言え、戦いたければ戦い、戦いたくなければ戦わなくても済むようになっています。

姫としては敵キャラと戦う必要性をもう少し持たせて欲しかったです。でなければ敵キャラと戦う事の利点を持たせて欲しかったです。

単純なアクション性

飛び道具、ジャンプ、しゃがむなどの要素はなく、アクション部分は、剣の抜き差しと上下左右への移動だけの単純なものになっています。

敵キャラへの攻撃は、敵キャラの種類によって変わりますが、剣を出した状態で敵キャラを突き刺すか、交差して体力を減らして行くかのどちらかになります。姫はこの内の後者、交差して相手の体力を減らして行くと言うアクションが好きでした。新しいですし、単純ですが操作も楽しいです。

敵キャラの放つ呪文の防御は盾で行います。剣を出していない時は盾が正面にあり、正面を防御、剣を出している時は盾が身体の左側面に来るため左側面を防御するようになっています。これを上手く利用出来るようになるとアクション部分での面白味が出て来ます。

「ドルアーガの塔(ナムコ)」のアクション性には単純で物足りなく感じるところも多少はありますが、敵キャラとの交差する戦い方や盾の方向の変化などの仕組みは気に入っていますし、単純だからこそ良いと感じている部分もあるのではないかと思います。複雑にして良さが損なわれるよりは今のままで良いのかも知れません。

RPG要素

アイテムを取る事でギル(自機)の能力が上がって行くようになっています。自機が成長して行く感覚を味わえるのはプレイ中の1つの楽しみでもありました。

魅力的な要素

「ドルアーガの塔(ナムコ)」は60階までありますが、どのフロアも通路の構造が違うだけで後は似たり寄ったりになっています。(フロア60だけが少し特殊な通路の構造になっています。)また、フロア59とフロア60を除き、フロア1からフロア58までは特にゲーム的な展開は用意されていません。基本的には鍵を拾って扉を潜ればクリア出来るフロアです。特殊感のあるフロアはドルアーガの出現するフロア59とカイの救出して3本のクリスタルロッドの返還を行うフロア60くらいだと言えます。

ですが、似たようなフロアが続き、ゲーム展開に変化が見られない中でも、連れ去られたカイの救出、ドルアーガの討伐と言った大きな目的が用意されている事や、各フロアでの宝箱の出現方法が違っていたり、個性の違う敵キャラが色々と出て来たり、ギルの能力が上がって行ったりする事から、途中でプレイ意欲が低下したり飽きが来るような事はありませんでした。

変化の少ないゲーム展開でも魅力的な要素がいくつか揃っていれば十分に最後までのプレイに耐えられるようです。勉強になりました。

印象に残る背景音楽(BGM)

「ドルアーガの塔(ナムコ)」の背景音楽(BGM)でフロア間の短い曲、フロアで流れる曲、エンディング曲がとても印象に残りました。フロアで流れる曲は冒険心を高めてくれるような気分にもなりました。

今までに印象に残った曲と言えば「マッピー(ナムコ)」のステージ中の曲くらいだったのですが(「スターフォース(ハドソン)」の曲も耳に残っていますが曲としてはメロディラインが弱いような気がします)、やはり、ゲームでは曲も重要な要素の1つだと言う事を改めて感じました。そして、他のゲームももう少し音楽に力を入れた方が良いのではないかと思いました。

姫が1つ前にプレイしたのは「フロントライン(タイトー)」であり、無音の世界の後だったため「ドルアーガの塔」の曲の印象がより強く残ったのかも知れませんが、今までのファミコンのゲームの中では数少ない「まともな曲の付けられたゲーム」である事は確かだと思います。

塔の構造

各フロアは長方形をしています。ドルアーガの塔はそれが60階ある事になります。姫の見方が偏っているせいかも知れませんが...これはあまり塔らしくないように感じました。

トップビューとサイドビューの組み合わせ

各フロアはマップがトップビューになっていて、その中にキャラクターがサイドビューで置かれた形になっています。

これには最初の頃は違和感がありました。サイドビューのキャラクターを意識して見ていると、特に横方向への移動の時には、マップまでがサイドビューに見えて来る瞬間がありましたので...。(その逆にマップをトップビューとして意識するとキャラクターが倒れた状態になっているように見える瞬間があるのですが...こちらは直ぐにそれにも違和感が生まれるので長く続く事はありませんでした。)

マップのトップビューにキャラクターを合わせるとキャラクターは頭上くらいしか見えなくなるでしょうし、キャラクターのサイドビューにマップを合わせると外壁しか見えなくなりプレイ不可能になるのでトップビュー+サイドビューと言うのも分からなくはありませんが、マップもキャラクターも斜め上から見るようにすれば解決出来たようにも思います。(そこに制作上のどのような障害があるかは姫には全く分かりませんが。)

バイタリティ

ギルはバイタリティがなくなると死亡しますが、このバイタリティはプレイヤーには見えないようになっています。「バンゲリングベイ(ハドソン)」のヘリコプターはダメージの数値が表示されていましたし、「イー・アル・カンフー(コナミ)」の李や「スパルタンX(任天堂)」のトーマスはエネルギーメーターが表示されていて、いつ死亡するかが分かるようになっていました。それに比べるとギルのバイタリティは見えないため、いつ死亡するかが分からずプレイする事になり、常に不安を感じさせられました。

あやちゃんは「一切のパラメーターが見えないのがドルアーガ。」と力説してましたが、姫は見えた方が安心してプレイ出来るので見えた方が良いです。交差している最中に突然(本当は徐々にバイタリティが減少して行き、それが尽きた事によってですが、プレイヤーから見れば「突然」)死亡すると悲しくなってしまいますので。

ドルアーガ

姫はあやちゃんからドルアーガは「8本の腕と4本の脚を持った緑の悪魔」と聞かされていたので、どのような姿をしているのかと期待していたのですが...フロア59で見たドルアーガの姿は姫の想像していたものとは大きく違っていました。

1ブロック分の大きさで「8本の腕と4本の脚」を表現するのは無理なのは分かりますが、姫の期待が大きかった事もあり、再現度の低いドルアーガの姿はとても残念に思いました。

エンディング

今までのファミコンのゲームではエンディングがないままループに入ったり、あってもメッセージ画面やそれに短い曲を付けた程度のものでしたが、「ドルアーガの塔」ではそれらとは全く違い、スタッフロールが流れ、エンディング曲もそれらしきものが用意されていました。

長いプレイの末にエンディングがなかったり、一瞬(メッセージ画面1つ)で終わってしまうのは寂しく残念なもので、それと比べると「ドルアーガの塔(ナムコ)」のエンディングは達成感を味わう時間もあり、全面クリアしたご褒美を受け取っているような特殊感もありました。他のゲームももう少し工夫して欲しいものです。

宝箱の出現方法

宝箱の出現条件の中には自力では不可能と思えるようなものもあり、その中にはクリア必須アイテムまで含まれているのですが、出現方法に関する助言のようなものはゲーム内には一切用意されていませんでした。

これに就いては、資料を用いずに自力でも全面クリアが出来るように、ゲーム内のどこかで出現方法の助言のようなものがある形にした方が良かったのではないかと思います。

クリア必須アイテムでも簡単に出現したり、難しくても思考を巡らせたり努力で解決出来るのであれば助言は不要かも知れませんが、自力ではほとんど不可能に近い難しさと言う中で何の救済もされていないと言うのはプレイヤーとしては良い事だとは思えません。(思考や努力で解決出来る範囲内での難しさであったり、どこかに出現方法の助言が行われていて難しい分には構わないと思います。)

総合評価 : 43点

「ドルアーガの塔(ナムコ)」の総合評価は43点です。

宝箱を出現させてアイテムを集めながら塔を上って行くのは楽しかったですし、ドルアーガを倒し、カイを救出した時は嬉しかったです。エンディングも今までのような短いものではなく良かったと思います。

ただ、宝箱の出現方法については自力では不可能に近い出現方法の宝箱もある中でゲーム内には何の助言もないと言うのはプレイヤーにとっては厳し過ぎるのではないかと思いました。姫は資料を片手にプレイしたので最後まで躓く事なく楽しくプレイ出来ましたが、そうでなければこの宝箱の出現方法は挫折やプレイ意欲の枯渇に直ぐに繫がりそうです。

姫は直面しませんでしたが、ゲームで遊ぶに当たって明らかに大きな壁となる問題を含んでいると言う事で評価は43点です。それがなければもう少し高い評価だったと思います。また、自力でプレイしていれば印象は大きく変わり、かなり低い評価になっていたと思います。

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