フォーメーションZ(ジャレコ) : 感想・レビュー [ファミコン]

フォーメーションZ : 感想・レビュー

横スクロール型シューティングゲーム

「フォーメーションZ(ジャレコ)」はファミコン初の横スクロール型シューティングゲームになっています。今までは固定画面型、縦スクロール型、疑似3D型だったので横スクロール型と言うのは新鮮に感じられました。だた、個人的な好みだけで言うと横スクロールは好きはなれなさそうです...。

可変型の自機

「フォーメーションZ(ジャレコ)」の自機イクスペルは可変型の機体で人型(歩行移動)と戦闘機型(飛行移動)に変形する事が出来ます。姫の知っている中で言うと「Zガンダム」のような感じです。

人型形態と飛行形態

人型形態は移動速度が非常に遅く、移動範囲も狭いため敵機や敵機の弾を避け難くなっています。また、射撃兵装による攻撃が前方、前方斜め上、前方斜め下の3方向にしか出来ず、敵機の撃墜も限られた範囲でしか出来ないようになっています。

これと比べると飛行形態は移動速度が速く、広い移動範囲を自由に動く事が出来るようになっていて人型形態よりも遥かに扱いやすいと言えます。攻撃出来る方向は歩行形態と同じく前方、前方斜め上、前方斜め下の3方向ですが、行動範囲の広さがあるので敵機を相手にするのが苦にならないようになっています。

なので、出来れば人型形態には変形したくないのですが、人型形態がエネルギーを消費しないのに対し、飛行形態はエネルギーを消費して行くようになっていて(エネルギーの補給は出来ますが)、効率を良くする事で歩行時間を減らす事は出来ますが、必ずどこか歩行移動を行わなければならないようになっています。

更に、飛行形態でないと越える事の出来ない「海」が途中にあるため、その「海(無補給地帯)」を迎える前にある程度のエネルギー(50前後)を蓄えておかなければならず、「好きな時に好きなだけ飛んでエネルギーがなくなれば歩けば良い」と言う事も出来ないようになっています。

ゲーム内では「全体を通して常に飛行形態の方が有利、人型形態は移動も戦闘も不向きとなっているが、制限を設ける事で人型形態も必ず使わせる。」と言う仕掛けになっていますが、姫としては飛行形態が有利な状況、不利な状況、人型形態が有利な状況、不利な状況を作ってプレイヤーが自由に使い分けが出来るようにした方が少なくとも好みには合っていると思います。「飛行形態の方が有利だけど制限があるから仕方がなくここは人型形態で」ではなく、「(積極性を持って)ここは人型形態で行こう」とプレイヤーに思わせる仕掛けを考えて欲しかったです。(説明的な前置きが長くなりましたが言いたかった事はこれです。)

でなければもう少し人型形態の戦闘能力を上げて欲しかったです。そうすれば人型形態を強いられる場面でもまだ我慢出来ますので。

射撃の方向

人型形態も飛行形態も射撃方向は前方、前方斜め上、前方斜め下の3方向になっています。

この内、飛行形態は機首から弾を発射していると言う事と前方に高速で移動中と言う事でこの3方向でも仕方が無いと思いますが、人型形態の方もそれと同じ3方向にしか撃てないと言うのはどうかと思いました。

人型形態はゆっくりと歩いていて移動しているため飛行形態よりも多くの敵キャラと接触しますし、地上物も余計に相手にしなければなりません。また、動ける範囲が前後とジャンプだけでなので飛行形態よりも敵キャラを避ける事には制限があります。その上で射撃が前方の3方向に限られていると言うのは飛行形態と比べるとあまりにも不利な点が多いように思います。

空中物に対してはせめて真上に近い角度でも撃てるようにしておいて欲しかったです。(斜め上の射撃で逃した敵や上から迫って来る敵を倒せると戦闘が楽になります。)そもそも、人型形態の利点の1つは腕を自由に動かせる事だと思いますし、それを利用しないのであれば何のための人型形態なのか分かりませんので...。腕の可動域が狭くてあれが限界だと言うのであれば別ですが...。(しかし、それでは人型形態としては欠陥品と言う事に...。)

地上物に対しては(しゃがむ、伏せる、別の攻撃手段を用意するなどして)下段にも攻撃出来るようにしておいて欲しかったです。同じ地上にいるのに高さが合わなくて攻撃出来ないと言う状況が多く見られましたので...。地面すれすれの小さな敵(ビグ)は無理だとでも、攻撃も移動もして来ない前方に置いてあるだけの大きな戦車(ヘラ)くらいはせめてそのまま倒せても良いのではないかと思います。

地上物[フォーメーションZ]

[フォーメーションZ]

人型形態時、戦車(ヘラ)を破壊するためには(引き付けてからか少し手前に来た時にジャンプをしてから)ビッグバンを斜め下に撃ち、それを当てる必要がある。

真上の敵機[フォーメーションZ]

[フォーメーションZ]

真上の敵機を落とす時は一度後退してからの攻撃となる。

パルスレーザーとビッグバン(溜め撃ち)

パルスレーザーは画面内に3発までの単射連発型が可能で威力が低い、ビッグバンは溜め撃ちで1発ずつしか撃てないけど威力が高い(敵機を貫通、ボスキャラにも有効)。「フォーメーションZ(ジャレコ)」ではこの2種類の攻撃方法を使い分ける事が出来るようになっています。

今までのシューティングゲームを見ると「ゼビウス(ナムコ)」では対空攻撃と対地攻撃と言う攻撃対象の違いによる2種類の攻撃方法、「エクセリオン(ジャレコ)」では画面内に4発までの単装連射型(制限あり)と画面内に1発までの2連装単射型(制限なし)と言う性能の違う2種類の攻撃方法が用意されていましたが、弱い攻撃(画面内に3発までの単射連発型)と強い攻撃(画面内に1発までの連射型)と言う攻撃の強さによる違いを持たせたのはこれが初めてだと思います。(形は違いますがこれを「弱くて早い攻撃と強くて遅い攻撃」と表現すると「アーバンチャンピオン(任天堂)」での弱いパンチと強いパンチが思い起こされます。)

また、「溜め撃ち」と言うのも初めてで、押すボタンではなくボタンの押し方によって攻撃が変わると言うのは良いアイディアのように思いました。

敵キャラ

敵キャラはもう少し種類が沢山あっても良かったのではないかと思います。宇宙に行っても地上と似たような敵と戦っていましたので...。

要所にボスキャラを登場させたのは良かったと思います。但し、あまりにもあっけなく沈んでしまう辺りは残念でした。もう少し手応えのある方が良かったかも知れません。

変化して行く地形の種類

「フォーメーションZ(ジャレコ)」では荒野、海、砂漠、海、宇宙大陸、宇宙空間と地形が変化して行きます。

こう言う工夫は良いと思いました。ずっと似たような見た目や特性が続いていては飽きてしまいますので。

エンディング

エンディングは黒い画面にメッセージが表示されるのみになっています。

1つ前にプレイした「バンゲリングベイ(ハドソン)」も黒画面にメッセージだけのエンディングでしたが折角、クリアしたのですから...もう少し特殊感を持たせてあっても良かったのではないかと思います。

ループ

最後のボスキャラ(「ラスボス」と言うようです)「ジズィリアヌ」を倒してクリアすると2周目に移り、再び最初の場面(地形)からの開始となります。

姫は黒画面にメッセージだけのエンディングとこのループでゲームに対する意欲を一気に失いました...。メッセージしか出ないエンディングを見るために面白いとも思えないゲームを同じ内容で再び最初からプレイすると言うのは姫には到底無理な事です。ゲームそのものが面白いのであればまた違うのかもしれませんが。

背景音楽(BGM)

プレイ中の背景音楽(BGM)はありません。このゲームが全体的に寂しく感じられる要因の1つになっていると思います。

奥行きのある横スクロール

スクロール時は手前にあるもののスクロールは速く、奥にあるもののスクロールはそれよりも遅くなっていて、横スクロールの画面の中に奥行きを感じらるようになっています。良いアイディアだと思いました。

総合評価 : 14点

「フォーメーションZ(ジャレコ)」の総合評価は14点です。

ファミコン初の横スクロール型シューティングゲーム、可変型自機による歩行と飛行の使い分け、エネルギーによる飛行時間の制限、連発と溜め撃ちの使い分け、荒野-海-砂漠-海-宇宙大陸-宇宙空間と変わって行く地形マップ、スクロール画面の奥行きを表現するための工夫...と、新しい部分が沢山見られ、新鮮さはあったと思います。

ただ、シューティングゲームだと言うのに敵機を撃ち落し難い(人型形態時は特に)と言うところと、何よりもゲームとして面白いと感じられなかったと言うところで大きな減点となりました。

良いところもあるけど悪いところも多いゲームのように思いました。

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