麻雀(任天堂) : 感想・レビュー [ファミコン]

麻雀 : 感想・レビュー

麻雀の印象

姫は麻雀がどのようなものか全く知らなかったため、麻雀を一通り勉強してからファミコンの「麻雀(任天堂)」に挑んだのですが、姫が学んだ麻雀が4人打ちだったせなのか、ファミコンの「麻雀」は姫が学んだ麻雀とは随分と印象の違うものでした。

4人打ちの麻雀との違い

4人打ちの麻雀との違いで姫が特に気になったのは次のようなものです。

  • 対面が上家でもあり下家でもある
  • 東家と南家しかない
  • 打牌の回数が一定
  • 振っても自摸られても全額払い

対面が上家でもあり下家でもあるため、対面からチーをする事になりますし、対面にチーをされる事になります。かなりの違和感があります。

東家と南家を持つ機会しかなく、東南回しなので「西」や「北」は完全なオタ風になっています。

打牌の回数は常に一定で、ポンやチーによって相手の自摸回数が増えたり、自摸を飛ばされると言うような事はありません。

振っても自摸られても全額払わなければならなく、このためオリ打ちを行う価値が半減しています。(オリ打ちの利点は相手の上がる機会を半分にする事くらいしかありません。)

独自のルール

この「麻雀(任天堂)」には独自のルールがあり、その辺りにも戸惑いました。

  • ドラが次の牌ではなく現物
  • マイナスからでもリーチが可能
  • ツモピンフが無い
  • 常に起家で始まる
  • ノー聴での流局時じ手牌を晒す

ドラはドラ表示牌の次の牌ではなく、ドラ表示牌の現物になっているようです。例えば画面中央領域にドラが「中」と表示されている時、麻雀の一般的なルールに照らし合わせれば王牌のドラ表示牌が「発」で、「発」の残り枚数は最大3枚になりますが、この「麻雀」では「中」がドラの時は表示牌も「中」なので、「発」の残り枚数は最大4枚、「中」の残り枚数は最大3枚となります。この辺りは気を付けていないと残りの牌数を見誤ってしまいます。

この「麻雀」ではマイナス状態でもどこからかリーチ棒(1000点棒)を出して来てリーチをかける事が出来るようになっています。

マイナスでのリーチ[麻雀]

図1) マイナスでもリーチが可能。どこからかリーチ棒を出して来ている。

ピンフはロン和だけで、ピンフ聴牌からツモ和した時にはピンフは不成立扱いになります。一般的にはピンフの時はツモを0符として20符(ピンフ成立)で計算されますが、この「麻雀」では本来通りにツモ点を計算に入れているようです。そのためツモ和でのピンフは「ツモ(30符)」となり、ロン和でのピンフは「ピンフ(30符)」となります。順子中心の手作りとピンフを好んでいる姫にとってはツモピンフがない事は非常に残念です。

親決めを行わずに常にプレイヤーの起家で半荘が始まります。オーラスでは必ず子になり、オーラスを親で迎える事はありません。

この「麻雀」ではノー聴でも流局時に手牌を晒すようになっています。普通は手牌を晒すのは聴牌者だけで良いはず...。姫にはノー聴で手牌を晒す事の意味が全く分かりません...。ノー聴ならば牌を伏せてノー聴罰符を払えば良いだけなのに...。

不親切な点

  • 鳴いた牌を横にしない
  • 理牌のし過ぎ

ポン、チー、カンの際に鳴いた牌を横にしないためどの牌が鳴かれた牌なのかを憶えておく必要があります。現物やフリテンの見落としが出る可能性があります。

理牌後は左から万子の1~9、筒子の1~9、索子の1~9、風牌の東南西北、三元牌の白発中の順で綺麗に並ぶようになっています。ですが、ここまで綺麗に並べてしまうと逆に理牌のし過ぎのように感じます。理牌のし過ぎは手出しを行った際や鳴いた際に裏から手牌を推測させる材料を相手に与えてしまうので、程々にするか、プレイヤーが並びを変える事が出来るようにするかして欲しかったところです...。「上級」まで綺麗に理牌されているのには驚きました...本当に「上級」なのかと...。

コンピュータの打ち筋 : 手作りと鳴き

コンピュータの打ち筋は非常に不可解なものになっています。

例1。2巡目にコンピュータが「北」を1鳴き、4巡目に筒子を2-3-4でチー、その後、姫が役牌と筒子を絞りながら打って行き流局を迎えたのですが、その時のコンピュータの手牌を見ると一向聴のノー聴でした...。しかもホンイツもサンショクも無い、良くて形式聴牌と言う一向聴です...。

姫としては言いたい事は色々とあるのですが、先ずはオタ風の「北」から鳴く事の意味が分かりません。それも序盤で1枚目から慌てて鳴くなんて...。ホンイツ(混一)にしてもその仕掛けは考えられません。ホンイツ絡みで鳴くのであっても役牌からです。それも様子を見て(ドラ含みでもなければ)出来る限り門前で進めたいところなのに。

そして、2つ晒してノー聴牌と言う事も信じられません...。姫は好牌を絞りながら進めて終盤は念のために現物を打っていたのでコンピュータにも姫が聴牌していない事は容易に分かったはずです。コンピュータはオリる必要性はありませんし、実際に終盤では自摸切りが多く、最後まで上がりを目指しているように見えました。となると...序盤に2つ晒してひたすら上がりを目指しての一向聴止まりだったと考えられます...。

「北」を鳴かずに門前で進めていけば十分にピンフを狙えたと思われ、捨て牌(2回鳴いたので本来の自摸に戻っている)を見ると上手く打てば下のサンショクもあるようでした。門前であれば色々な可能性があったのに、それを序盤の「北」のポンで全て放棄するなんて...。

コンピュータの打ち筋 : リーチ

例2。コンピュータは嵌張、辺張、双ポン待ちでも頻繁にリーチをかけて来ます。また、リーチをかければ出難くなる待ちの時もリーチをかけて来まし、点棒状況を気にする事なくリーチをかけて来る事もあります。

姫は効率の良いリーチや効果的なリーチを心掛けているのですが、コンピュータにはその欠片もないようです。待ちが悪くても、リーチをかければ出難くなるような状況でも、ダマ聴で構わないような状況でもリーチをかけて来ます。

勿論、上がりやすいリーチをかけて来たり、ダマで上がる事もあるのですが、やはり理解不能なリーチをかけて来る事の方が多いように見えます。自分が上がる事しか信じていないような打ち方で、羨ましくさえ思います...。

コンピュータの打ち筋 : リーチに対する打牌

例3。リーチに対しては平気で裏スジや跨ぎスジを切って来ます。それが親のリーチであってもです。

オリていると思われる時も見られますが、基本的には自分の要らない牌を捨てているだけの事が多く、姫のリーチに対しても1発目から裏スジや跨ぎスジを切って来ます。コンピュータ相手に迷彩は無意味と言って良いと思います。

初級・中級・上級

「初級」は「麻雀を覚えたての人」向けとなっていますが、覚えたての人にはこの「麻雀(任天堂)」は向いていないと思います。本来の4人打ちの麻雀とは色々と違いますし、この「麻雀」によって「対面からチーが出来る」、「振っても自摸っても全額払い」などと勘違いするような事があっても困ります。また、折角覚えた打ち方、読み、駆け引きなども活かせるところは少なく、逆に変な打ち癖が付いてしまうような事もあるかも知れませんので。

「中級」は「麻雀に 強くなりたい人」向けとなっていますが、麻雀に強くなりたい人にはこの「麻雀」は向いていないと思います。コンピュータの滅茶苦茶な打ち方は全く参考になりませんし、4人打ちでの駆け引きや感覚も全く味わえませんので。この「麻雀」で麻雀が強くなるとは到底思えません。

「上級」は「麻雀に 自信のある人」向けとなっていますが、麻雀に自身のある人にはこの「麻雀」は向いていないと思われます。ただ制限時間とチョンボがあるだけで中身は初級、中級と変わらないからです。(コンピュータの上がる率は高くなっているように感じられますが...打ち方自体は変わっているように見えません。)麻雀に自信のある人が大ダコのコンピュータを相手に2人で打って楽しいかどうか...。コンピュータが強いのは打牌だけです...。

総合評価 : 1点

「麻雀(任天堂)」の総合評価は1点です。

麻雀を覚えたての人には混乱を与え兼ねないと思われる要素が全体を通して見られます。更にコンピュータの打ち方は滅茶苦茶ですし、麻雀に強くなるどころか、逆に麻雀を覚えたての人に変な感覚を身に付けさせてしまわないかが心配です。

姫の学んだ麻雀はもっと奥が深そうだったのに...この麻雀はそれよりもかなり表面的なものになっていて...残念です。「麻雀」と言う名前になっていますが、麻雀風の別のゲームとして捉えた方が良いと思います。厳しいかも知れませんが1点とさせて頂きました。

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