レッキングクルー(任天堂) : 感想・レビュー [ファミコン]

レッキングクルー : 感想・レビュー

マリオとルイージ

「レッキングクルー(任天堂)」では「ドンキーコング(任天堂)」や「マリオブラザーズ(任天堂)」にも出ていたマリオと同じく「マリオブラザーズ」に出ていた弟のルイージの2人が主人公として登場しています。

マリオと言えば「ドンキーコング」の時にはタルを飛び越えるジャンプを見せ、「マリオブラザーズ」では更にその上を行く高いジャンプ力を身に付けて登場し、「マリオブラザーズ」で初登場だったルイージもそれと同等の能力を持っていてた事から、姫の中ではこの2人は高いジャンプ能力を持っていると言う印象が強くあったのですが、「レッキングクルー」では2人とも全くジャンプが出来なくなっていました。ハンマーを振るうと言う点では「ドンキーコング」の時のマリオが思い出されますが、ジャンプが出来ないマリオとルイージは能力的には全く別の人間に見えました。

操作キャラクターにジャンプの能力を与えなかったのはゲーム内でのパズル性を保つ上で必要な事だとは思いますが、だとするならジャンプの印象が大きいマリオとルイージではなく別のキャラクターでも良かったのではないかと思います。マリオとルイージがジャンプ出来ないと言うのは違和感がありますので。

マリオとルイージの外見

ルイージの外見には違和感を感じました。

ルイージは「マリオブラザーズ」時代には緑色の髪とヒゲで、肌は浅黒い肌だったのですが、この「レッキングクルー」ではヒゲと髪は歴代のマリオと同じ青色になり、肌は「ドンキーコング」、「マリオブラザーズ」の時のマリオのように色白になっていました。顔だけを見ると青髪、青ヒゲ、色白で「ドンキーコング」、「マリオブラザーズ」のマリオと同じに見え、ルイージだとは分かり難くなっています。

これに対し、マリオの方は「ドンキーコング」、「マリオブラザーズ」と比べると白かった肌の色が「マリオブラザーズ」時代のルイージのような浅黒い肌になってはいるものの、青い髪とヒゲはそのままであり、肌の色よりも髪とヒゲの色の印象が強いせいか、一見して(ルイージではなく)マリオだと分かるようになっています。

マリオとルイージの区別が付かなくても困る事はないのですが、出来ればマリオとルイージの違いが一目で分かるようになっていた方が良いのではないかと思います。

「マリオブラザーズ」でのマリオとルイージ[レッキングクルー]

図1) 「マリオブラザーズ」でのマリオとルイージ。マリオは青色の髪とヒゲに色白の肌、ルイージは緑色の髪とヒゲに浅黒い肌。(「マリオブラザーズ(任天堂)」より。)

「レッキングクルー」でのマリオ[レッキングクルー]

図2) マリオは青色の髪とヒゲはそのままで肌は浅黒い肌に。

「レッキングクルー」でのルイージ[レッキングクルー]

図3) ルイージは髪とヒゲがマリオと同じ青色になり、肌の色は色白になっている。

マリオとルイージの挙動 : 落下時

「マリオブラザーズ(任天堂)」の時のマリオとルイージは落下時に左右移動の慣性が残っていたのですが、この「レッキングクルー(任天堂)」では落下時には左右移動時の慣性が全て取り払われて真下に落下するようになっていました。パズル要素を持ったゲームの性質上これは仕方のない事なのかも知れませんが、「マリオブラザーズ」で滑らかな動きを見せていたマリオとルイージの印象からは大きく違って見えました。

また、自機は落下時に空中で一度僅かに停止してから落下へと移るようになっています。この動きには感覚的な不自然さを受け、見慣れ、操作慣れするまでに時間がかかりました。こちらは「アクションゲーム」としてはあまり良い事とは言えないように思います。

マリオとルイージの挙動 : ハシゴとドラム缶の間での移動

自機がハシゴの最上段から同じ高さのハシゴの最上段には普通に移る事が出来ますが、ドラム缶から同じ高さのハシゴの最上段に移った場合は下へと落下するようになっています。同じ高さでの移動なのに挙動の違いが出るのは非常に不思議な感じがします。

ハシゴとドラム缶の間での移動 1[レッキングクルー]

図4) ハシゴの最上段から...。

ハシゴとドラム缶の間での移動 2[レッキングクルー]

図5) ハシゴの最上段へと移動した場合...。

ハシゴとドラム缶の間での移動 3[レッキングクルー]

図6) 落下せずに渡る事が出来る。

ハシゴとドラム缶の間での移動 4[レッキングクルー]

図7) ハシゴの最上階からドラム缶へも普通に移動する事が出来る。

ハシゴとドラム缶の間での移動 5[レッキングクルー]

図8) ドラム缶からハシゴへと移る場合、自機の移動する高さはハシゴからハシゴへと移動した時の高さ(図5)と同じ高さだが...。

ハシゴとドラム缶の間での移動 6[レッキングクルー]

図9) ハシゴには渡れず、下へと落下する。

マリオとルイージの挙動 : 最上段のハシゴ

最上段にあるハシゴでは最後の3段を上る際に一気に上に吸い寄せられるように上るようになっていて、最上段以外のハシゴを使って移動している時よりも自機の動きの不自然さが大きくなっています。こう言ったところはプレイ中の違和感の元になってしまいますので、もう少しきちんと作っておいて欲しかったです。

最上段のハシゴでの自機の挙動 1[レッキングクルー]

図10) ハシゴはこの位置から...。

最上段のハシゴでの自機の挙動 2[レッキングクルー]

図11) 吸い寄せられるように1コマで最上段まで上がる。

最上段のハシゴでの自機の挙動 3[レッキングクルー]

図12) ハシゴ壁もこの位置から...。

最上段のハシゴでの自機の挙動 4[レッキングクルー]

図13) 一気にこの位置まで上る(こちらは2コマ)。

どの面からでも始められる

「レッキングクルー(任天堂)」は全100面になっていますが、タイトル画面で選択する事によって好きな面から始める事が出来るようになっています。

姫は、一応、01面から始めて順番に全てのクリアして行って100面までクリアしたのですが、どの面からでも始められる中では最初から順番にクリアして行く事の意味が感じられず、100面クリア時の達成感もあまり感じませんでした。

どの面からでも始められると言うのは「アイスクライマー(任天堂)」と同じ方式ですが、「レッキングクルー」は「アイスクライマー」とは違いアクション性以外にもパズル性の占める割合が大きく、そう言ったゲームでは「チャンピオンシップ・ロードランナー(ハドソン)」や「フラッピー(デービーソフト)」のようにパスコードやキーワードを使って面を選択出来る方式(クリアしなければ先の面に挑戦出来ない方式)の方が良いのではないかと思いました。少なくとも遣り甲斐や達成感の面では。

エンディングもなく2周目に突入

どの面からでも始められる中で100面クリア後にエンディングを置いたとしても価値はないと思いますが、01面から100面まで通してクリアした後に(ボーナスステージを挟み)エンディングもなく2周目に突入するのは少々寂しいように感じました。(01面から100面まで通してのクリアは姫が勝手に決めて挑戦した事なのですが...それでも。)

難易度

「レッキングクルー(任天堂)」はパズル性とアクション性を持ったアクションパズルゲームとなっていますが、パズル性よりはアクション性が重視されているように見えます。そして、難易度に関してもパズル性から生まれる難しさは少なく、ほとんどがアクション性から生まれる難しさのように感じられました。

実際、100面の中には何度か挑戦を重ねてクリアした面もありましたが、それらは全てアクション部分での難しさに梃子摺った事によるものでした。

ゴールデンハンマー

姫は最初にゲームを開始する前にあやちゃんからゴールデンハンマーを使わないようにと言われていました。理由はゴールデンハンマーを使用するとゲームバランスを大きく崩すからとの事でした。

なので姫はゴールデンハンマーを使用せずに100面クリアに挑戦をしたのですが、100面クリアを達成した後、改めてゴールデンハンマーの使用を試してみたところ、確かにあやちゃんの言う通りで、特に敵キャラの配置や行動パターン、敵キャラとの速度差、壁の堅さなどの要素が絡んでいる面ではゴールデンハンマーによって難易度が大きく低下したり、面白味が著しく失われる事があるようでした。

普通のアクションゲームであればゴールデンハンマーのような存在はあっても構わないのかも知れませんが、パズル性を持たせたアクションゲームとしてはゲーム性を大きく崩してしまうと言う点であまり好ましいとは言えないように思いました。

純粋にアクションパズルゲームとしての「レッキングクルー(任天堂)」を本来の難易度で楽しみたいのであればゴールデンハンマーの使用は極力避けるべきだと思います。別の楽しみ方としてはあると思いますが。

総合評価 : 24点

「レッキングクルー(任天堂)」の総合評価は24点です。

パズル部分の難易度が低く、それに比べてアクション部分の難易度が高くなっていて、姫の好みとは言えませんでした。

また、どの面からでも始められるため面をクリアして行く事の楽しみが感じられませんでした。

パズル低アクション高は姫の好みとは言えず、どの面からでも始められると言うのも好きではないのですが、それでも姫はアクションパズルゲームはそれなりに楽しめるらしく、そのそれなりの楽しさから24点と言う点数を付けました。悪い点が目に付くゲームの割には高い点数になったと思います。(これで楽しめなかったなら一桁だったかも知れません...。)

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