チャレンジャー(ハドソン) : 感想・レビュー [ファミコン]

チャレンジャー : 感想・レビュー

独立ステージと複合ステージ

「チャレンジャー(ハドソン)」ではシーン1は独立ステージ、シーン2/シーン3/シーン4はシーン2をフィールドマップとしてシーン3/シーン4と行き来する形の複合ステージになっています。

フィールドマップとそこからの個別マップを行き来する形はファミコンでは既に「ルート16ターボ(サンソフト)」のレーダーモード/メイズモードに見られますが、「チャレンジャー」では「ルート16ターボ」のそれよりもかなり進化しているように見えました。(「ルート16ターボ」はフィールドマップが1画面分しかありませんでしたし、フィールドマップの自機も敵キャラも「点」でしたので...。)

シーンによって異なるゲーム形式

「チャレンジャー(ハドソン)」では1つのゲームの中に複数の形式のステージが含まれています。

  • シーン1 : サイドビュー/左右任意スクロール型(非ライフ制)
  • シーン2 : トップビュー/4方向任意スクロール型(ライフ制)
  • シーン3 : サイドビュー/固定画面型(非ライフ制)
  • シーン4 : サイドビュー/固定画面型(非ライフ制)

シーン1、シーン3、シーン4はサイドビュー型のステージになっていますが、プレイ中に受ける感覚がそれぞれに少しずつ違っているように感じました。

操作でも異なる部分があり、シーン1では「伏せる」事が出来るのに対し、シーン3、シーン4ではそれが出来ないようになっています。ステージによるこのような違いを持たせた理由は分かりませんが、姫のようなゲーム初心者には戸惑いを生む原因になりますので、出来ればどちらかに統一して欲しかったところです。(実際にシーン3、シーン4で敵キャラを前に咄嗟に伏せようとしてそれが出来ずに慌てる場面がありました。)

シーン2はシーン1、シーン3、シーン4とは全く異なり、トップビュー型のフィールドマップ面になっています。

シーン2はシーン3、シーン4との行き来が可能であり、ステージが切り替わると共にトップビューからサイドビュー、サイドビューからトップビューへと切り替わりますが、これに対する違和感のようなものはなく、上手く構成されているように思いました。

全体を通してはライフ制と非ライフ制とが混在している点は不自然に感じました。(サイドビュー面(シーン1/シーン3/シーン4)はどの敵キャラに接触しても1発死亡なのに対し、トップビュー面(シーン2)ではサイドビュー面では1発死亡だった同じ種類の敵キャラに接触してもライフが減るだけであり、1発死亡となるのはカラだけに変更されています。)特にシーン2、シーン3、シーン4はそれらが1つに繫がって構成されていると言えるため、シーン2をライフ制にするのであればシーン3、シーン4も全てライフ制にして3つのシーンでそれを引き継ぐ形でも良かったのではないかと思います。

シーン1(メタモルフォセス号)

シーン1は背景をスクロールさせる事で列車が走っている感じがよく出ていると思いました。

最後はドン・ワルドラドを倒せないようになっていますが...マリア王女の目の前まで行きながら救出出来ずに連れ去られ、そこからワルドラド島(シーン2)でのマリア王女の探索に続く...と言う展開は物語性があって良いと思います。「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」のように一度も姿を見た事がないピーチ姫を助け出しに行くよりは、こちらの方が救出に対する意欲が沸きます。

シーン1は音楽も耳に残りました。恐らく、どこかで聞いた事のある曲だと思います。(あやちゃんが言うには、これはシューベルトの「軍隊行進曲」だそうです。姫はクラシック音楽は好きですが、「そこ」ではないので、聞いた事がある曲だとは思いましたが作曲者や曲名までは分かりませんでした。)

シーン2(ワルドラド島)

シーン2をフィールドマップにフィールド内の洞窟(シーン3)でキーワードを揃えながらマリア王女のいるプレシオドランドのピラミッド(シーン4)を目指す複合ステージになっています。

シーン2では大きなフィールドマップを自由に移動(探索)する事が出来、プレイしながら冒険している感覚を味わう事が出来ました。

大きなマップの中には色々な地形が見られましたし、巨大な山、迷路の森、ドクロや蛇の形をした意味ありげな地形など特別感があるものも用意されていて、移動していても飽きが来ないように作られていた点も良かったです。

(ただ、巨大な山へ立ち寄るのはプレシオドランドへ直行するルートから見ると遠回りであり、(最初はそれが分からないので立ち寄るものの、その次からは)そこに行くまでにキーワードが全て揃っている場合には立ち寄る理由がなくなります。(あるとするなら山頂の西側に「まっとうくじら」がいる事くらい(回復場所として使えるくらい)です。)迷路の森は何かありそうな雰囲気はありますが実際には何も(洞窟も)なく、プレシオドランドへ直行するルートからは外れていますし、こちらは、一度、探索した後(何もないと分かった後)は立ち寄る理由が全くなくなります。こう言う特別感のある場所には積極的に立ち寄りたくなる理由を用意して欲しかったです。また、意味ありげな地形は、罠を除き、「意味ありげ」以上の意味がなかったのも残念です。)

敵キャラの配置が地形に合わせて行われている辺りはきちんと考えられていると思いました。当たり前と言えば当たり前の事なのかも知れませんが...。

ゲーム中に得られる冒険感は、フィールドマップ内を自由に移動出来る事に加えて、マップを進める事以外の目的、キーワードを探すと言う目的が与えられている事によるところもあったと思います。ただ、集めるキーワードは3種類しかなく、場合によっては早々に揃ってしまい、全てが揃った後は洞窟に立ち寄る理由が「時間切れを防ぐ」ためだけになってしまうのは残念でした。もう少し工夫が欲しかったところです。

飛んでいる最中に消えるナイフ

シーン2ではナイフが飛んでいる最中に自機がダメージを受けるとそれと同時に「飛んでいるナイフが空中で消える」と言う現象が起こるのですが、これは自機から離れて飛んで行ったナイフに対してその後の自機の状況が影響を及ぼしているように見え、非常に不可解でした。ゲーム内での不可解は(「ゲーム」と言う事で)大抵は許容する事に決めている姫でも、これは...あまりにも...と思ってしまいます。

自機から離れて飛んで行くナイフ[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

ナイフを投げた後...。

ナイフが画面内に残っている状態[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

ナイフが画面内に残っている間に...。

自機がダメージを受ける ナイフは空中で消失[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

自機がダメージを受けると、飛んでいる最中のナイフがそれと同時に消失する。(この場面はナイフが途中で消えなければ1ダメージ受けた後にナイフがパワージュエルに当たって画面内の敵キャラが消えていなくなるのだが、そうはならない。パワージュエルに当たるはずのナイフはどこかへと消え、敵キャラは消える事なく画面内に残っている。)

3つの罠

フィールドマップ内にはミステリーゾーン、トラップケイブ、アリ地獄の3つ罠が置かれていますが、これらはどれも「ただの罠」でしかなく、突破した時のご褒美もありません。アリ地獄はプレシオドランドへと向かうルート上にあるので接触の機会は残りますが、そうではないミステリーゾーンとトラップケイブに就いては、一度、罠だと分かってしまうとそこに寄る理由がなくなり、二度と行かなくなる(あってもなくても同じになる)と言うのが寂しかったです。折角、マップ上に配置されている特殊エリアであるのに訪れるのは最初の1度だけです。(トラップケイブの周辺は「パワーソードの永続」(関連記事を参照)を行いやすい場所なので裏技目的で立ち寄る理由はありますが...。)

罠に就いては、例えば...別のステージに繫がっていて、死亡率は高いけどそこに何か利益になるものがあるとか、脱出したらどこか別の場所に出るとか...そう言ったような罠以外の部分(立ち寄る利益)を持たせても良かったのではないかと思います。プレイヤーに無視されて終わるだけにならないように。

シーン3(洞窟)

シーン3は洞窟ステージになっています。噴水を飛び越えて「キーワード」を取って戻って来るだけのステージであり、個人的にはもう少し色々と仕掛けがあっても良かったのではないかと思います。レベルが上がると色々な敵が配置されて少し賑やかになるのですが、それ以外の工夫が欲しかったです。

シーン4(プレシオドランドのピラミッド)

シーン4は最後の面です。ドン・ワルドラドを倒してマリア王女を救い出すとラウンドのクリアとなります。

シーン4では画面左側の岩場が恐竜の形をしていて、その口の部分がマリア王女の牢屋になっています。こう言ったデザイン的な部分は気に入っています。

しかし、最後の面でありながら1画面しかないのは残念でした。もう少し、やり応えがある面にしても良かったと思います。

突然の垂直落下による死亡

ドン・ワルドラドのいる(いた)足場からマリア王女の牢屋の前にある足場へと下りる際は自由落下で下りるのですが(ジャンプを使って下りると空中で死亡となります。)、この自由落下は斜め方向に落下してきちんとマリア王女の牢屋の前の足場へと下りる事が出来る場合と(足場のない)垂直方向へと落下して自機が死亡してしまう場合とがありました。

これはプレイヤーからすると...通常は斜め方向へと落下するはずのものが、いつの間にか(実際には垂直ジャンプを行う事で)垂直方向へと落下するように変わってしまっていた...と言う事なのですが、こう言った裏側(プレイヤーの知らないところ)で勝手に起こる挙動の変化は取り除いておかなければならないものだったのではないかと思います。自由落下を行ったら垂直方向に落下して死亡...自由落下が悪かったのかと次にジャンプによる落下を試みるが...今度は落差が大きく空中で死亡...と言ったような混乱と無駄な死亡を生み兼ねませんので...。

(垂直ジャンプを行い自由落下が「垂直方向」に変化してしまった場合は斜めジャンプを行う事でそれを「斜め方向」へと戻す事が出来ます。しかし、これは通常はプレイヤーの知識の外の事です。知っていれば「斜めへの落下」と「垂直落下」を使い分ける事が出来、問題がないどころか有用だとさえ言えるのですが、知らない人間にとっては自分の知らないところで勝手に起こる迷惑な変化でしかありません。)

ドン・ワルドラドのいた足場から落下 1[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

足場からの落下が...。

斜め下へと落下[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

「斜め下」である時もあれば...。

黄色い足場への着地に成功[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

(この場合は黄色い足場への着地に成功。)

ドン・ワルドラドのいた足場からの落下 2[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

足場からの落下が...。

垂直方向へと落下[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

「垂直方向」になる時もある。落下方向の違いには落下前のジャンプが関係しているが、知らないプレイヤー(これが通常)にとっては戸惑いの原因になる。

黄色い足場への着地に失敗[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

(この場合、黄色い足場へは着地出来ずに...。)

落下により空中で死亡[チャレンジャー]

[チャレンジャー]

(空中で死亡となる。)

操作感覚と自機の挙動

アクションゲームとしては操作感覚が良くないように感じました。上手く表現出来ませんが、「自機の動きが少し硬い」のではないかと...。その分、操作が難かしくなっているように思います。

サイドビュー面では「伏せる」が出来るシーンと出来ないシーンがあり(シーン1では出来ますが、シーン3、シーン4では出来なくなっています)、プレイ中に少し戸惑う事がありました。この辺りはどちらかに統一しておけなかったものかと思います。

不可解な挙動や現象...

シーン1では「下ボタンを押して伏せた状態でBボタン(ジャンプボタン)を押し、そのままBボタンを押し続けている状態から下ボタンを離す」と自機が(横方向を押していないのに)「斜めジャンプ」を行うのですが、こう言ったプレイヤーの意図しない勝手な行動は起こらないようにしておいて欲しかったです。

他にも、先述にありますが、シーン4での自由落下の方向の変化(斜め下だったり真下だったりする)も戸惑いの原因になるので取り除いておくべきだったと思います。予測不能であり、自機の操作を不安の中で行う事になりますので。(実際には垂直ジャンプ後の自由落下が真下方向であり、斜めジャンプを行うと自由落下の方向が斜め方向に戻るので、予測不能ではないのですが、知らない人間(こちらが通常)にとっては予測不能と言えます。)

これも先述にありますが...シーン2でナイフが空中を飛んでいる最中に自機がダメージを受けるとナイフが消える現象...も不満でした。飛んでいるナイフが消えるか消えないかで状況が変わった場面もありました...。

難易度が低い

難易度は全体的に低かったように思います。ゲーム初心者でアクションゲームが苦手な姫が1度もゲームオーバーにならず、結局、最後はリセットを押してゲームを終了していましたので。個人的にはもう少し難しくても良かったと思います。(シーン2のタマのいるエリアでは、タマの動きの特徴を掴むまではパワーソードのない状態での突破に、多少、苦労する事もありましたが、全体を通して比較的に難しいと感じたのはそれくらいであり、後は簡単だったと言えるのではないかと思います。)

裏技

ゲーム内には無敵や1UPなどの裏技が多く用意されていて、通常プレイとは別の楽しみを持って遊ぶ事も出来ました。

個人的にはシーン2で「空飛ぶまっとうくじら」を自分で発見出来た事は嬉しかったです。(プレイしていた中で偶然に発見(出現)しただけなのですが、それが普通にプレイしていれば大抵の人が発見出来るようなものであっても発見時に感じる「自分で見つけた感」は嬉しいものです。)

裏技には「知らなければ出来ないような裏技」と「プレイ中に偶然に発見出来ても不思議ではない裏技」とがありますが、「チャレンジャー(ハドソン)」では後者が多く盛り込まれていました。ここ最近のゲームを見ると裏技は、番外的な楽しみと言うよりも、ゲーム内に標準的に組み込まれる副次的な楽しみに変わって来ているように感じます。「チャレンジャー」もその流れの中にあるように思いました。ゲームの楽しさを作る要素として最初から裏技を計算的に組み込んでいるように見えます。

総合評価 : 46点

「チャレンジャー(ハドソン)」の総合評価は46点です。

ゲーム中には色々なアイディアが見られ、それらの試みは非常に良かったと思います。プレイしていて冒険感がありましたし、裏技も楽しめました。

ただ、操作感覚があまり良くなかった事と、自機がプレイヤーの意図していない行動を見せる事があったのは残念でした。アクションゲームではこう言った部分が大きな不満の原因になると言う事を改めて感じました。

全体的には十分に楽しむ事が出来たと思います。最近のゲーム(これよりも前に発売された中で発売日が近いところのゲーム)の中では「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」と並んで面白かったです。自機の操作感覚に問題なければ50点は越えていたと思います。

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