フロントライン(タイトー) : 感想・レビュー [ファミコン]

フロントライン : 感想・レビュー

寂しさが全体を覆っているゲーム

「フロントライン(タイトー)」をプレイして最初に受けた印象は「寂しさ」でした。

背景音楽(BGM)は、面開始時とクリア時に短い曲が流れるものの、プレイ中は全く流れません。その曲のない中で流れる音と言えば自機が歩く時の「キコキコ」や装甲車や戦車が移動した時の「ピロピロ」と言う音と、銃を撃った時、手榴弾を投げた時、砲撃時、爆発時などの効果音だけです。その効果音も全く派手さのないもので、音楽がない中では寂しさを増大させる要因になっていました...。

描画を見ると、曇りの日のような色使いのマップ、種類が少ない上にどれも地味なデザインの登場キャラクター、青一色で波の表現さえ見られない川、台の上に1台の戦車が乗せられているだけの敵司令部...など、どこを見ても寂しい見た目になっています。せめて装甲車や戦車や敵司令部のデザインくらいはもう少し格好良くして欲しかったところです...。

音楽もなく、見た目も地味なため、プレイしていて非常に寂しく感じられました。

自機の奇妙な描画

「フロントライン(タイトー)」の自機は(敵歩兵もそうですが)歩くにしても銃を撃つにしてもその動きはとても奇妙なものに見えました。

自機の歩き方を見ると、自機は横方向以外に移動する時は両足を開いた状態で歩くようになっています。プレイ中はこの不思議な動きがとても気になりました。

また、自機は常に片腕しか描画されないようになっていて、これもプレイ中は非常に気になりました。どうして両手をきちんと描画しないのかと...。

銃の撃ち方では、銃を撃つ構えからして不自然なのですが、銃を撃つ方向を変える時は(身体の向きを変えない場合は)そこから手首だけを使って銃の向きを変えているように見え、それがとても奇妙な動きに見えました。姫が射撃に関して無知なだけで、もしかすると高等技術なのかも知れませんが...。

自機は立ち止まった時に自動的にキョロキョロする動きを見せますが、そう言ったものを差し込む前に基本的な部分の改善を行った方が良かったのではないかと思いました。

キャラクターのチラつき

2機のキャラクターが横に並ぶと一方にチラつきが発生するようです。

ハードの問題なのかプログラムの問題なのか、姫はそう言った部分には疎いので全く分かりませんが、これに就いては何と出来なかったものかと思ってしまいます。2機並んだだけでチラつきが起こるのは今のところ「フロントライン(タイトー)」だけで、他のゲームでは(チラつきは見られますが、2機並んだだけでと言うのは)見られませんですし。

弾と任意スクロール

このゲームでは自機と敵キャラはマップ上の座標で動きますが、自機の弾、敵キャラの弾は画面上の座標で動くようになっているようです。

このため弾をマップスクロールで避けようとしても避けられずに被弾すると言う事がプレイ中に何度か起こりました。

強制スクロール型のシューティングゲームではスクロールは自動で行われていますし、キャラも弾も同じ流れの中にいると言う感覚から極普通の事として画面上の座標で弾を避けようとするのですが、「フロントライン(タイトー)」では自機の位置を変える事でマップをスクロールさせる事が出来るようになっているため、弾が自機に近づいて来た時に、画面内での自機の座標を変えるのではなく、直感的にマップをスクロールさせて(即ち、マップ上での自機の位置を変える事によって)弾を避けようとしてしまっているようです。弾が他のキャラと同じようにマップ上の座標を移動していればマップスクロールで避ける事も可能ですが、弾はマップのスクロールに関係なく画面上の座標を動いているため、マップスクロールによる回避は回避には全くなっていないと言えます。それでも咄嗟に行ってしまうのですが...。

画面端以外の場所(移動してもマップスクロールが行われない場所)にいる場合は自機の移動に伴って自機の画面上の座標とマップ上の座標が一緒に変わるのでこのような問題は起こりません。マップ上の座標を移動して弾を避けている感覚でも弾を避ける事が出来ます。ただ、マップ上の座標を変えて弾を避けている感覚で回避を行っていると画面端で咄嗟にマップスクロールによる回避を行ってしまい兼ねませんので、どの場所にいる時でも画面上の座標で弾を避ける感覚でいるようにする必要があるように感じました。

姫としては弾に就いても他のキャラと同じようにマップ上の座標を移動するようにして欲しかったです。その方が自然な感覚でプレイ出来たのではないかと思います。

攻撃に関しては、停止した状態(慣性のない状態)からでも発砲後や投擲後に自機を移動させて画面をスクロールさせると画面スクロールの分だけ着弾地点がずれてしまうようです。(スクロールによりマップ上での着弾地点の座標がずれているだけで画面上の座標では最初に狙った地点に着弾します。)特に手榴弾に就いては滞空時間の長さから動きの不自然さが大きく感じられ気になってしまいました。

物足りないボスキャラ

各面の最後には敵司令部があります。この敵司令部は台の上に戦車を乗せて砲台にしただけのものになっています。

敵司令部は面の最後に構えているボスキャラですし、もっとデザイン的な工夫があった方が良かったと思います。また、手榴弾1つで崩壊してしまうと言うのも物足りなく感じました。

変化の乏しいゲーム内容

地形は植物壁のある地帯、草地、川と橋のある地帯、岩のある地帯、ブロック壁のある地帯と変わって行きますが、植物壁のある地帯から草地にかけて敵キャラが歩兵から装甲車/戦車に変わった後は、最後に敵司令部が置かれているだけで、出現する敵キャラの変化はなくなります。地形が次々に変化しても敵キャラが草地以降同じままでは先に進む楽しみが少ないと言えます。

また、植物壁のある地帯と植物壁のある地帯以外は障害物のあるなしと障害物の形が少し違うだけで、「地形の変化による戦い方の変化」と言うものがほとんど感じられませんでした。もう少し地形によって戦い方の差が出る工夫があっても良かったのではないかと思います。折角、地形が変化しても「多少見た目が変わっただけ」ではもったいないと思いますので。

面をクリアした後、次の面に移っても敵キャラの積極性が上がっているくらいしか変化が見られないのも残念でした。面毎の変化が難易度以外に見られなかった事により姫は「面を1つクリアしたらこのゲームはもう十分」と感じてしまいました。

面白さがないゲーム

「フロントライン(タイトー)」はゲーム内のどこにも面白味が感じられませんでした。

背景音楽(BGM)がない、画面が地味、登場キャラクターの種類が少ない、自機の動きが奇妙、草地以降の敵キャラに変化がない、面毎の変化が難易度以外に見られないなど...色々と不満に感じる点はありますし、その中にはこのゲームの面白味のなさに繫がっているものもあるかも知れません。ですが、例えば音楽を付けて、画面を派手にして、登場キャラクターを増やし自機の動きをまともにしたとしても(寂しさや奇妙さは消えるかも知れませんが)面白味のなさはやはり残るような気がします。

「フロントライン」の面白さの欠如は(他のゲームでも多くの場合においてはそうだと思われますが)音楽や見た目のせいではないと思います。不満に感じる要素のあるなしや多い少ないよりも面白さを感じる要素を持っていない事が問題のように感じました。

車輌への乗り降り

「フロントライン(タイトー)」では面開始時は自機は人間であり、移動方法は歩行ですが、その後、途中に放置(?)されている車輌に乗る事で車輌を使った移動に切り替える事が出来ます。この乗り降りは自由に出来ますし、戦車の場合は爆発前に降りれば死亡せずに済むようになっています。

今までのファミコンゲームでは歩行と車輌の切り替えと言うのはなく、これがファミコン初になっています。

姫としては乗り物に乗る事によって自機の特性が変わるのは良いアイディアだと思います。「フロントライン」では残念な事にそれが面白さに繫がってはいませんが、ゲームの幅が広がる可能性を見る事が出来ました。

折角の装甲車と戦車ですが、装甲車は敵歩兵の銃を受けただけで即時爆発、戦車は同じく敵歩兵の銃を受けただけで煙を上げた状態になると言うのは残念でした。敵歩兵と戦車との出現が重なるのはマップ上では僅かな領域での事ですが、火力や装甲の力関係はもう少し違和感のないようにしておいて欲しかったところです。(自機の銃は敵装甲車、敵戦車に対してきちんと(?)効果がないようになっています。)

また、敵車輌と比較すると、敵装甲車や敵戦車は進行方向以外の方向にも砲台を向ける事が出来ますが、自機は進行方向にしか砲台を向ける事が出来ないようになっているのも残念でした。

移動速度に就いては車輌に乗った後はもう少し移動速度が速い方が良いのではないかと思いました。

人間と車輌の大きさの不自然さはゲームと言う事で見て見ぬ振りです。姫にもこれが出来るようになって来たようです。自機の動きの奇妙さはどうしても気になりましたが...。

総合評価 : 3点

「フロントライン(タイトー)」の総合評価は3点です。

面白さがない上に寂しさが全体を覆っているゲームのように感じました。また、面をクリアした後に難易度を上げただけの同じ面を繰り返しプレイしなければならないのは苦痛でしたし、飽きも早く感じられました。3点は妥当な点数だと思います。

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