スーパーマリオブラザーズ(任天堂) : 感想・レビュー [ファミコン]
スーパーマリオブラザーズ : 感想・レビュー
マリオの逞しい姿
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」でのマリオは今までのマリオとは違い敵キャラを踏んで倒す事が出来るようになっていました。「ドンキーコング(任天堂)」、「マリオブラザーズ(任天堂)」、「レッキングクルー(任天堂)」では敵キャラに上から接触した場合も通常の接触と同じように死亡していたマリオ...その頃と比べると随分と逞しくなったように思います。嬉しいような...悲しいような...。
また、この「スーパーマリオブラザーズ」ではマリオはスーパーキノコを取ると巨大化してスーパーマリオに、スーパーマリオの状態からファイアフラワーを取るとファイアマリオに変身出来るようになっていました。
スーパーマリオ/ファイアマリオになったマリオはブロックを破壊する事が出来ますし、敵キャラに接触しても(噛まれても)直ぐにミスとはならずに小さなマリオに戻るだけで済みます。更にファイアマリオでは「マリオブラザーズ」時代、「レッキングクルー」時代に敵キャラだったファイアボール(と同じものかどうかは分かりませんが...)を自分の武器として使用する事が出来ます。こちらも「ドンキーコング」時代からはとても想像出来ないマリオの姿です。ただ、これらの能力はマリオ自身のものではなく、パワーアップアイテムから与えられる「パワー」によるもののようです。嬉しいような...悲しいような...。
広い世界と広いステージ
ゲーム内には全部で8つのワールドがあり、各ワールドは4つのエリアから構成されています。
各エリアは地上エリア、地下エリア、水中エリア、空中エリア、城内エリアと言った特徴のあるステージに分かれ、それぞれのエリアは横長の広いステージマップを持っています。このステージマップは今までのアクションゲームと比べると非常に広いステージマップになっています。また、エリアによっては地下室、水中ゾーン、天国(雲の上)ゾーンと言った別ステージが用意され、面積的な広さ以外の広さも感じられるようになっています。
面数で言えば32面ですが、特徴の違うそれぞれのエリアとステージマップの広さから、ゲーム内の世界が非常に広いものに感じられました。
表示画面の外側
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」では表示画面の外側に対して工夫が行われているようで、画面表示外にも世界がある事を感じさせるように作られていました
例えば、画面上端の外へとジャンプで大きく出て行く事が出来ますし、蹴った甲羅や流れるキノコは画面表示外にある土管に当たって跳ね返って来ます。土管だけでなく敵キャラも画面表示外で存在しているように振る舞い、一度画面から消えた敵キャラが方向を変えて再び画面内に現れると言う事もありました。(ハンマーブロスのように少し画面外に出ただけでもすっかり消えてしまう敵キャラもいましたが。)
また、城内ではクッパの出現前からクッパの炎が画面右側(クッパのいる方向)から飛んで来るようになっていて、画面表示外にも表示される前から続きがきちんとあると感じられるようになっていました。こちらは画面に表示される前から存在していると言うよりはそう見せる演出と言う事になるのかも知れませんが。
画面表示外に有効範囲を持たせた事による広さ、画面表示外にも世界が続いている事を見せる演出など、今までのアクションゲームには見られない工夫だと思います。
挙動の自由度が高く、操作性の良い自機
マリオ/ルイージ(自機)は左右の動きに就いては細かい移動からBダッシュによる高速移動までが可能であり、ジャンプに就いては小さなジャンプから大きなジャンプまでが調節可能になっています。更に、(多少の慣れを必要とするものの)操作性は良いと言え、自機の動きに関しては他のアクションゲームも見習って欲しいと思えるほどでした。(これで操作性が悪ければ自機の挙動の自由度の高さも意味のないものとなり、逆にストレスの原因になり兼ねないのですが、そうではないところがこのゲームの凄いところだと思います。)
単純な操作と幅の広いアクション性
基本となる操作は左右の移動とBダッシュとジャンプだけですが、これまでのアクションゲームと比べるとゲーム画面内での行動の自由度が高く、幅の広いアクション性を持ったゲームになっているように感じました。
敵キャラに対しては、踏み付ける、ブロック越しに下から叩く、甲羅を蹴って当てる、ファイアボールを当てると言った倒し方が用意されています。敵キャラの踏み付けは連続で行う事が出来ますし、滑っている甲羅は踏む事で動きを止める事も、それを蹴る事で再び滑らせる事も可能になっています。
移動は細かい左右の移動から通常のダッシュ、更にはBダッシュによる高速移動が可能になっています。勢いの付いた状態ではBダッシュでも非Bダッシュ状態でも1ブロックの幅なら落下せずに抜けて行く事が出来ます。
ジャンプはAボタンを押す長さと加速の状態を調節する事によって小さなジャンプから大きなジャンプまで飛び分ける事が出来、着地地点を空中で調整する事も可能になっています。半身をずらして飛ぶ事で真上のブロックに飛び乗る事も可能です。
これらのアクション性は操作性の良さが伴う事により生きて来る要素であって、アクションゲームにとって自機の操作性がどれほど大切なものかを改めて感じさせられました。
マリオの大きさによって変わる行動の選択肢
ブロックを破壊出来ず、敵に一度噛まれたら死んでしまう通常のマリオ、ブロックを破壊出来、敵に一度噛まれても小さくなるだけで済むスーパーマリオ、スーパーマリオの性質に加えてファイアボールを投げる事の出来るファイアマリオ...同じ場面であってもマリオの状態の違いによってプレイヤーの行動の選択肢が変わって来ます。これによりゲーム性に幅が感じられるようになっています。
ボスキャラ
8つのワールドはどれも4つ目のエリアが城内エリアになっていて、その城内の奥には大魔王クッパが待ち構えています。
どのワールドもボスキャラが全て大魔王クッパと言う点では「スターフォース(ハドソン)」や「ゲイモス(アスキー)」などと同じような物足りなさはありますが、ワールドによってクッパの攻撃方法(1~5が炎、6~7がハンマー、8が炎とハンマー)や周囲の地形が些細ではあっても違いますし、ワールド1からワールド7までのクッパは偽者、ワールド8のクッパが本物のクッパと言う事でストーリー上の納得が出来、姫の中では許容出来る範囲に収まっています。
ピーチ姫の救出
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」ではピーチ姫の救出と言う大きな目標がきちんと用意されています。
やはり、大きな目標が用意されているゲームは良いと思いました。何も目標がない中でただステージを進まされゲームよりもプレイ意欲が沸きますし、クリア時の終止感が強くなり達成感が感じられますので。
マリオは今回はピーチ姫を救出するために戦いましたが、姫としては「ドンキーコング(任天堂)」時代に救出対象だったレディが、現在、どこで何をしているのかが気になりました。ピーチ姫を助けた後はレディの下へと帰ったのでしょうか...。
エンディング
エンディングはとても残念なものになっていました。
マリオが幾多の危険を乗り越えてピーチ姫を助けだしたと言うのにピーチ姫からの感謝の言葉は「ありがとう、マリオ。」の一言だけで...一緒に表示される残りのメッセージは裏面とラウンドセレクトの紹介でした...。
せめて裏面とラウンドセレクトに就いては(マリオへのメッセージをもう少し増やした上で)マリオへの感謝の言葉とは別に表示した方が良かったのではないかと思います。「ありがとう、マリオ。」の直ぐ後に続けて裏面とランドセレクトの紹介では感謝の言葉に心が篭っていない感じがしますので。
このピーチ姫のメッセージは裏面をクリアした場合でも変わりません。ラウンドセレクトを使って裏面をクリアした者に対しても感謝の言葉を一言で済ませて裏面とラウンドセレクトの紹介を行っていました...。
メッセージが表示された後はタイトル画面に戻るのですが、これももう少し工夫が欲しかったです。
他のアクションゲームとの比較
これまでに姫がプレイしたゲーム(「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」が発売される前までのファミコンゲーム)の中には、「スーパーマリオブラザーズ」と比較出来るようなゲームは見当たりませんでした。
そこで、取り敢えず、ジャンプ主体のアクションゲームと比較してみようと思ったのですが、最も最近のものとなると「スーパーアラビアン(サンソフト)」がそれに当たり...これは比較するのが可愛そうだと思い止めました。それくらい差があるように感じました。
隠し要素や裏技が多い
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」には隠しアイテムや隠しルートが用意されている他、多くの裏技が存在しています。このためクリアした後もエリアを探索したり裏技を試したりして遊ぶ事が出来ます。
裏技は意図的に組み込まれたものなのかどうかは分かりませんが、「スーパーマリオブラザーズ」では裏技の存在によってゲームの遊び方の幅が広がっているように思え、裏技もゲームの大事な要素になっているように感じました。
背景音楽(BGM)
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」は「ドルアーガの塔(ナムコ)」以来のまともな背景音楽が付いたゲームでした。特に地上面の音楽は耳に残るものになっています。
難易度が低い
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」に対しては不満を感じる点が他のゲームに比べると少ないのですが、その少ない中で最も不満に感じたのは難易度でした。
姫はゲーム初心者ですし、アクションゲームは特に苦手としてます。その姫が初回プレイで簡単に全面クリア出来てしまった事から考えると、このゲームの難易度はかなり低いのではないかと思います。姫はこのゲームに対しては難易度的には物足りなさを感じたのですが、アクションゲームを苦手としている姫ですら物足りなさを感じたと言う事は普通の人にとっては難易度的には到底満足出来るものではないかも知れません。
難易度はもう少し高くても良かったのではないかと思います。折角の面白いゲームだと言うのに、この難易度の低さのせいでやり応えのないゲームになっているように感じました。
マリオの大きさ
マリオには通常の小さなマリオとスーパーマリオ/ファイアマリオと言った大きなマリオの状態がありますが、通常のマリオは小さ過ぎ、大きなマリオは大き過ぎるように見えました。丁度良い大きさのマリオがいないと言うのは少し気持ち悪い感じがします。小さなマリオ、大きなマリオのどちらかのマリオを普通の大きさにしても良かったのではないかと...。
泳げるはずのマリオが水中に消える...
マリオは水中を泳ぐ事が出来ますが、地上エリアの水の中に落ちた場合は、何の引っかかりもなく、その下の穴(画面下)へと消えて行き死亡となります。
3-1でドキドキしながら試したのですが、落下からの死亡は予想はしていたものの、やはり残念でした。Aボタンを連打すると水に浮いた状態が続く(脱出不可能ですが)...画面下に落ちると水中エリアに繫がっている...などの期待も僅かにありましたので...。
総合評価 : 67点
「スーパーマリオブラザーズ(任天堂)」の総合評価は67点です。これまでのゲームの中で最も高い評価点となりました。
慎重な動きから躍動的な動きまでが可能な操作性の良い自機を操り、地上、地下、空中、水中、城内と言った特徴のあるエリアを進んで行くのはとても楽しかったです。ピーチ姫救出と言う大きな目標があり、プレイ意欲の低下もありませんでした。また、隠し要素の探索や多くある裏技によりクリア後でも楽しむ事が出来ました。
「スーパーマリオブラザーズ」はこれまでのアクションゲームの枠を超えたゲームであり、このゲームをプレイした事でアクションゲームへの姫の印象は一変したと言えます。アクションゲームの可能性を感じさせられる事となったゲームでした。
[ 画像引用元 : スーパーマリオブラザーズ © 1985 NINTENDO ]